Hina-Matsuri ヒナマツリ 2



 

「イヤな夢?どんな夢だ?」
「え、どんなって・・・うわーん、ふぁきあが訊くから思い出しちゃったよー!ふぁきあのバカー!死んじゃダメー!!」
「叩くな、あひる!泣くなって!いったい、どんな夢見たんだ・・・」
「踊り終わっても手を離さないって言って!死なないって言って!」
「分かった分かった。いや、よく分からないが、とにかく俺が悪かった。だから泣きやめ・・・でないと、シーツまで濡れるだろ」
「死なないね?代わりに『愛してる』のマイムをしてくれる?」
「は?今?」
「違うよ。踊り終わったあと」
「ええと・・・夢の中で、ってことか?」
「うう・・・」
「分かった!何でもお前の言うとおりにする!ちゃんと派手な衣装も着るし、『愛してる』のマイムもする!」
「ありがとう、ふぁきあ!大好き!」
「お前の夢だからな。お前の好きなようにするさ」
「でも、自分の思い通りの夢ってなかなか見れないし。ふぁきあが協力してくれると心強いよ」
「そんなたいしたことじゃないだろ・・・」
「いつかは『本当』に、素敵な衣装でふぁきあと踊りたいな。舞台の上で、ね」
「そう思ってるなら、しっかり練習しろよ」
「分かってるって。なんか、ふぁきあの方が楽しみにしてるみたいだよね?ふぁきあ、あたしに触るの好きだし」
「人を変態みたいに言うな」
「ふぁきあ、あたしのこと、好き?」
「な、何だ、突然」
「好き?」
「俺・・・」
「うん?」
「くそっ、知ってるくせに!きたねーぞ!」
「あっ、待ってふぁきあ!何するの?!」
「うるさい!男は行動あるのみだ!」
「ダ、ダメ・・・」
「ダメじゃない。イイって言えよ」
「あ・・・ぁ、イ・・・イヤ・・・」
「『イイ』だ」
「・・・ふぁきあ・・・」
「いいだろ?な?いいって・・・言ってくれよ・・・」
「知ってる・・・くせに・・・」
「それでも、聞きたいんだ・・・頼む・・・」
「ふっ・・・ん・・・あ、あぁ、イ・・・イ、あっ・・・!」
「あひる!・・・あっ、くっ・・・!」
「ぁん・・・あっ・・・ふぁ、きあ・・・イイ・・・イイよっ、ふぁきあぁぁ!」
 
 
 
 
 
「あー・・・えーと、何の話をしてたんだっけ?」
「Hina-Matsuriのことだろ」
「そっか。それがなんでこうなるわけ?」
「お前が変なこと訊いたからだ」
「ふうん。ま、いっか。どうせいつものことだし・・・」
「何だと?人聞きの悪いことを」
「誰も聞いてないじゃん」
「俺が忘れさせてやるから」
「へ?何を?」
「何かは知らないが、何でも。イヤなことは全て」
「・・・ふぁきあ」
「ん?」
「ありがと。でも気持ちだけでいいよ」
「あんなに大泣きしたのに?」
「うん、でも、忘れたくはないの。それにふぁきあと一緒なら、乗り越えられるから」
「そうか・・・分かった。じゃ、とりあえずは、他のどんな夢も超えられるくらい、素敵な夢を見させてやるよ」
「ふふっ」
「何だ?」
「ねぇふぁきあ?ふぁきあはいつもあたしに素敵な夢を見させてくれるよ・・・今も、ね」
「・・・そうか」
「うん、そう。あっ、ふぁきあ?何する・・・」
「夢だ、これも。いや、俺の夢か・・・」
「も・・・う、ふぁきあってば・・・仕方ないなぁ・・・」
「・・・あひる・・・」
「んっ・・・んん?」
「・・・俺・・・」
「な・・・に?」
「・・・こうしてる時の、お前の・・・って、桃の花、みたいだよな」
「もうっ!あ、あぁっ!」
「一年中・・・いつも、俺は・・・お前に夢中なんだ、あひる・・・」
「はぁ・・・ふ・・・ふぁ・・・」
「あひる、あひる・・・好きだ!」
「・・・きぁ!」
 
 
 

 

 

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